ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
いつもの森の前で足を止めると、彼を待った。きっとまた現れる。そう思って。
30分、1時間経っても彼は姿を現さなかった。
「いつも不意打ちのくせに、会いたい時に来ないんだから」
背を向けていた森へと向きを変える。一歩足を踏み出すと、ごくりと息を飲んで中へと入った。
暗くなる前に帰れば大丈夫。そう言い聞かせた耳たぶには、きらきらとピアスが光っている。
森へ入ってだいぶ時間が経つけれど、まだ先は見えない。
「どこへ繋がってるんだろう?」
立ち止まって辺りを見渡すと、小鳥のさえずりと一緒に木の声がした。それがうめき声に聞こえて来て、まだ明るい空と言っても気味が悪い。
そういえば、私って狙われてるんだっけ。
こんな人けのいない場所に入って、何かあっても自業自得だと思われるよね。やっぱり戻ろうかな。
道を引き返そうと振り向いたとたん、誰かにものすごい力で腕を引かれて、大きな樹木の後ろへ連れられた。
「キャァーッ!」
すぐに口をふさがれて、得体の知れない恐怖に襲われた。
「大きな声をあげるな」
震え上がっていた動きが止まる。
思えば、うしろの気配は自分より小さくて、口をおおう手に力は入っていない。
30分、1時間経っても彼は姿を現さなかった。
「いつも不意打ちのくせに、会いたい時に来ないんだから」
背を向けていた森へと向きを変える。一歩足を踏み出すと、ごくりと息を飲んで中へと入った。
暗くなる前に帰れば大丈夫。そう言い聞かせた耳たぶには、きらきらとピアスが光っている。
森へ入ってだいぶ時間が経つけれど、まだ先は見えない。
「どこへ繋がってるんだろう?」
立ち止まって辺りを見渡すと、小鳥のさえずりと一緒に木の声がした。それがうめき声に聞こえて来て、まだ明るい空と言っても気味が悪い。
そういえば、私って狙われてるんだっけ。
こんな人けのいない場所に入って、何かあっても自業自得だと思われるよね。やっぱり戻ろうかな。
道を引き返そうと振り向いたとたん、誰かにものすごい力で腕を引かれて、大きな樹木の後ろへ連れられた。
「キャァーッ!」
すぐに口をふさがれて、得体の知れない恐怖に襲われた。
「大きな声をあげるな」
震え上がっていた動きが止まる。
思えば、うしろの気配は自分より小さくて、口をおおう手に力は入っていない。