ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
 冷たかった空気が一変して、とてつもない熱風が押し寄せてきた。高温で油を熱しているような熱さ。

 近付くものは全て、アイスクリームみたいに溶けてしまいそう。

 突然、稲妻のような青い炎が昇り上がった。ルキくんの背後が燃え上がっている。

「危ないっ!」

 炎は体を覆うようにして消えた。わずかに青い気がオーラとして見える。体からにじみでている?

「さすがだねぇ。影を操れるのか」

 黒ずくめの女は楽しそうに唇をゆるめて、飛んだと思ったらルキくんの頸部を瞬時に掴んだ。

「ーールキくんっ!」
「そち、こちが怖いか?」

 首元に長い爪をつき立てたまま、こちらへ顔を向ける。

「この者も、こちと同じ仲間ぞ?」

 マントのような黒いコートを振り上げると、ルキくんの体はうしろへと投げ飛ばされた。

 ズズズと地面を引きずられるように倒れ込む。

 思わず顔を背けた。
 怖くて見ていられない。それに仲間って、どういう意味なの?
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