ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
抵抗する黒ずくめの女を、炎のドラゴンが締めつけている。
怖くて目を閉じて下を向くと、うしろから優しく抱きしめられた。
「オレたちがついてる」
そっと私の耳を押さえると、イリヤくんは電波のようなキィーッっという高い音を鳴らす。
しゃがみ込んだまま動けないでいると、
「樹里チャン……助けて」
弱々しく消えそうな声が聞こえてきた。
焼き焦げた黒いマントが宙に舞う。ほろほろと灰になり、散っていく。
そのベールの奥があらわになった瞬間、どくんと心臓が撃ち抜かれた。
「なん……で?」
瞳に映り込むのは、痛々しい顔をした優希ちゃんだった。
「わたしは樹里ちゃんを助けたのに、樹里ちゃんはわたしを見捨てるの?」
誰も素顔を見たことがない殺人鬼。その黒ベールに隠されていた顔が、優希ちゃんだなんて……。
「ここまで来るのに、長く我慢したよ」
手を当てると、頬についた傷がつるりとなくなった。
「ただ1人の味方として、きみから信頼を得た」
「……やめて」
立ち上がって、こっちへ歩いてくる。
一緒に過ごした日々が、頭の中をフラッシュバックする。
頭を伏せて耳をふさぐ。そんな言葉聞きたくない。
怖くて目を閉じて下を向くと、うしろから優しく抱きしめられた。
「オレたちがついてる」
そっと私の耳を押さえると、イリヤくんは電波のようなキィーッっという高い音を鳴らす。
しゃがみ込んだまま動けないでいると、
「樹里チャン……助けて」
弱々しく消えそうな声が聞こえてきた。
焼き焦げた黒いマントが宙に舞う。ほろほろと灰になり、散っていく。
そのベールの奥があらわになった瞬間、どくんと心臓が撃ち抜かれた。
「なん……で?」
瞳に映り込むのは、痛々しい顔をした優希ちゃんだった。
「わたしは樹里ちゃんを助けたのに、樹里ちゃんはわたしを見捨てるの?」
誰も素顔を見たことがない殺人鬼。その黒ベールに隠されていた顔が、優希ちゃんだなんて……。
「ここまで来るのに、長く我慢したよ」
手を当てると、頬についた傷がつるりとなくなった。
「ただ1人の味方として、きみから信頼を得た」
「……やめて」
立ち上がって、こっちへ歩いてくる。
一緒に過ごした日々が、頭の中をフラッシュバックする。
頭を伏せて耳をふさぐ。そんな言葉聞きたくない。