ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
「なんじゃ? なんなら、また三上先生に戻ろうかの?」

「あ、いや、別にそんなつもりじゃなくて。ただ、まだ実感がわかないっていうか。もう三上先生と会えないのかなと思ったら、ちょっと寂しくなって」

 ファッファッと怪しげな高笑いをして、鷲鼻を触る。

 みんなが味方だということは、よく分かったけど、これからどうなるのか想像がつかない。

「わしら魔女の魔術にも限度がある。奴らは同族喰らいの身。想像を絶する図り知れん力を持っとるじゃろう」

 こほんと咳払いをして、モラナが続ける。

「おそらく、あの暗殺者は新たな形でまた現れるはず。油断は禁物じゃ」

 濃い血を飲み続けていると、知性や能力がみなぎり使える力も増える。

 その行為は罪とされていて、罰を受ける吸血鬼たちもいるという。

 罪を犯してまで力を求めるなんて、どうかしてる。

「そもそも、お前たち吸血鬼は人間の血を飲んで生活してるんだろ? ジュリを狙った事はないのか?」

 ズイッと前のめりになるイリヤくんが、目を細めてルキくんを見た。

 私の血を……狙う?

 そういえば、ターゲットになったのは私が〝特別〟だからと言ってた。あれは、どういう意味だったんだろう。
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