ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
 なんでこんな格好してるんだろう?
 胸の中で自問自答するけど、答えは出てこない。

「気分はどーう?」

 聞き覚えのある中性的な声。
 ふり返るより先に、金色の髪が視界に入った。首をかしげるようにのぞき込んだのは、ノエルくんだ。

「……ノエルくん? ルキくんは?! ここどこ……」

 いきなり腕を引っぱられたと思ったら、指先がぱくりと口の中に入っていた。

 さっき怪我を確認したとき、血が付いたんだ。

 バラのように赤い瞳が、獲物を捕らえるように私を見つめる。その目と触れ合ったとたん、心臓がどくんと跳ね上がった。

「き、汚いから!」

 手を引こうとした時、ズキッとした痛みが指先を襲う。
 じんじんする手を押さえつつ、一歩後ろへ下がる。


 ーー今、噛んだ?

 『彼女の血は強烈に鼻につく。今まで嗅いだことのないような、特別な香りがするんだ』

 ルキくんの言葉を思い出して、ごくりと喉が鳴る。
 もしかして、私の血を吸おうとしてるの?
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