ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
 手が奪われて、ノエルくんがさっき噛んだ指先をペロッとなめる。

「殺さないよね? 私たち、友達だよね?」

 肩をビクつかせていると、きょとんとしたノエルくんがクスクスと笑い出す。

「そんな事しないよ。流れる血をムダにしたくないだけ」

 笑顔があまりにもきれいで、悪魔の微笑みのよう。

 また唇が触れて、次は血を吸われているような感じがしてきた。どくどくと傷口から血があふれていくのが分かる。

 痛みはなくて、猫とじゃれているみたいに少しくすぐったい。


「ね、ねえ……まだ?」

 指先がしびれてきて、変な感じがする。
 ノエルくんの眼が、少し酔ったような色っぽい表情になってきた。

 なんだか、これ、すごく恥ずかしい。

「もう……いいでしょ?」

 手を振りほどこうと思えば出来るはずなのに、どうして動かないの。

 だんだん心臓の音も大きくなってきて、頭がくらくらしてきた。
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