ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
 どうしよう、これ。こんな靴履いたことないけど、裸足よりはマシかな。
 残されたパンプスは、なぜか私の足にぴったり。履き心地は、あんまり。

 慣れないヒールに苦戦しながら、とぼとぼと歩く。

 吸血鬼の街って言ってたけど、違う世界にでも来ちゃったのかな。こんな場所で1人にしないでよ。

 ルキくんは、どこにいるんだろう。

 ーーバサッと音がして見上げると、黒い羽織をマントのように広げたルキくんが、空から降ってきた。

「えっ、ええっ?!」

 軽やかなステップで、タンッタンッと塀を使って着地する。
 すごい……マントが翼みたいで、かっこいい。

「屋敷が人間界(あっち)魔界(ここ)を繋ぐワープポイントになってる。小嶺(こみね)さんのことは、俺が守るから」

 どきん、と胸が鳴る。
 ルキくんも吸血鬼なのに、ノエルくんやレイ先輩とは何か違う気がするの。

 右手のマントを広げて、じっとこっちを見ている。
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