ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
「目、開けてみな?」

 そっとまぶたを開くと、目の前に紫がかったピンクの空が広がっていた。足元には、たくさんの建物が小さく見える。

 ほんとに、浮いてる! 空を飛んでる!

 ルキくんにがっちりと掴まりながら、内心ドキドキしていた。これが現実だなんて、素敵すぎる。

「あれは三月の血カフェ」

 ……三月生まれの血ってことかな。なんか、びっくりするメニューが出てきそう。

「真夜中のゴーストランドもある」

 お化け屋敷ばかりありそうなネーミングだ。聞いただけで怖さが伝わってくる。絶対に入りたくない。

 でも、パラムシア図書館というところは、アンティークな雰囲気だから古びた感じが品よく見える。とてもオシャレだ。

 吸血鬼が読む本って、どんなのなんだろう。

「吸血鬼が恋愛小説を読むのか、知りたい?」
「ちょっと気にはなる……って、ああーッ! やっぱり心が読めるの?!」
「知らなかった?」
「知るわけな……ッ!」

 ニヤッとして脚に腕を回すと、ルキくんが私をひょいっとお姫さま抱っこする。

 恥ずかしい……! 重かったらどうしよう。

「落ちないように、しっかり掴まってなよ」

 耳元でささやかれて、頬を真っ赤に染めながら、ルキくんの首にしがみつく。
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