ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
 次の瞬間、ビルの屋上から飛び降りるようないきおいで体が急降下した。

「ひッ、ギャアアアーッ! 死ぬーーッ!」

 思いっきり腕を絡めて、ルキくんのきれいな首筋に顔をうずめる。

 怖い、怖い、怖いよぉ!
 何度も胸の中でつぶやいていると、スピードが緩やかになってきたことに気付いた。

 もしかして、地上に降りた……?

 ふと顔を上げたとき、唇に冷たい感触が伝わってくる。いきおいあまって、ルキくんのつるんとした首筋にキスしていた。

「うわぁッ?!」
「キャッ!」

 ドスンと(にぶ)い音を立てて、体勢が崩れる。ルキくんが地面に尻もちを付いたらしい。

 しっかり抱えられているから、私は大丈夫だったのだけど、急にどうしちゃったんだろう?

「バカッ、なにする……」

 いつもの青白い顔が、ほんのり桜のようになっている。

 顔を隠すようにして、視線がそらされた。
 こんなに動揺しているルキくんを見るのは、初めて。

 もしかして、唇が触れたことに照れてるの?

「そんなわけ……ないだろ」

 あっ、また心を読んだ。
 考えてることが全てお見通しなのは、ちょっと困るけど、通じ合っているみたいで嬉しい。
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