あやかし戦記 裏側の世界へようこそ
イヅナたちをさらに震え上がらせたのは、鬼が血の滴る肉の塊を持っていたことだ。恐らく、フルール族の誰かの遺体だろう。しかし、ぐちゃぐちゃの状態ではもう誰なのか判別できない。
鬼が遺体を放り投げる。肉の塊がイヅナたちの目の前に落ちた。辺りに肉やわずかに形を保っている腕が飛び散る。その腕には花の入れ墨があった。
「何で……こんなひどいことを……」
イヅナが声を震わせ、泣きそうになりながら呟く。すると鬼はニタニタと笑いながら言った。
「七人も人間がいると匂いでわかったから来たものの、こいつらは動物の肉を食っていない。だから味が悪かった。だからこの肉はもういらん」
フルール族は動物の肉を口にすることはできず、口にできるのは野菜や魚だと話していた。でも、もうその話すら聞けない。イヅナの瞳から涙がこぼれ落ちる。
「イヅナ、逃げよう。ここは危険すぎる」
真っ青な顔をしたヴィンセントに腕を掴まれ、三人はこの場を離れようとした。しかし、時すでに遅し。同じく赤い肌を持った鬼たちに周りを囲まれて、逃げ場などなくなってしまった。
鬼が遺体を放り投げる。肉の塊がイヅナたちの目の前に落ちた。辺りに肉やわずかに形を保っている腕が飛び散る。その腕には花の入れ墨があった。
「何で……こんなひどいことを……」
イヅナが声を震わせ、泣きそうになりながら呟く。すると鬼はニタニタと笑いながら言った。
「七人も人間がいると匂いでわかったから来たものの、こいつらは動物の肉を食っていない。だから味が悪かった。だからこの肉はもういらん」
フルール族は動物の肉を口にすることはできず、口にできるのは野菜や魚だと話していた。でも、もうその話すら聞けない。イヅナの瞳から涙がこぼれ落ちる。
「イヅナ、逃げよう。ここは危険すぎる」
真っ青な顔をしたヴィンセントに腕を掴まれ、三人はこの場を離れようとした。しかし、時すでに遅し。同じく赤い肌を持った鬼たちに周りを囲まれて、逃げ場などなくなってしまった。