あやかし戦記 裏側の世界へようこそ
「みんな、頑張って訓練についてきてね?これくらい、アレス騎士団じゃ普通だから。みんなできて当たり前なんだからね。まあ、ついて来れないって言うならしょうがない。その時は荷物をまとめてすぐに屋敷から出て行ってね?本気で妖と戦う気がない人を入団させるわけにはいかないから」

その時、イヅナとギルベルトの目が一瞬合ったような気がした。その一瞬、ギルベルトは恐怖を感じるような笑みではなく、ふわりと優しく微笑んだように見える。

「笑った……?」

イヅナが驚いている間に、ステージにはブラウンのふわふわロングヘアーの女性が登場していた。チェルシー・モールバラだ。男性たちがヒソヒソと「可愛い!」と呟いている。レオナードも彼女に見惚れていて、ムッとしたイヅナはわざと彼の足を踏んだ。

「いっ!」

レオナードは驚きと痛みで顔を顰め、ヴィンセントは「ナイス!」とイヅナの耳元で言う。その間、チェルシーは優しい目で入団試験を受ける人たちを見て話をしていた。

「皆さんと一緒に戦えること、楽しみにしています。辛いこともたくさんあると思うけど、頑張ってね」
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