あやかし戦記 裏側の世界へようこそ

「はい！頑張ります！」

男性陣から大きな声が上がり、チェルシーはフフッと笑いながらマイクの前から離れる。そして、三大戦闘員の一人であるツヤ・シノノメが姿を見せた。あの時、鬼を毒で惨殺し、イヅナを叱った女性だ。

ツヤがステージに姿を見せると、空気がどこか張り詰める。敵であるはずの鬼がいるということに、試験を受けにきた人たちが警戒した目をツヤに送っているのだ。そんな様子を見て、ツヤは「今年の奴らは面白いな」と笑った。

「去年の奴らはあたしを見てビビっていて、あたしが少し口を開けばすぐに泣いて話にならなかったが、今年は退屈しなさそうだ。これくらい元気な方が指導のしがいもある。何人受かるのかわからないが、よろしくな。クソガキ共」

不敵な笑みを浮かべて話すツヤは、パッと見ただけでは綺麗な顔立ちの十代の女の子だ。千年ほど生きている鬼とは思えない。しかし、イヅナは知っている。ツヤが鬼に対して残酷な殺し方をしたことを……。

「今日は長旅でみんな疲れていると思うから、座学だけにしようかな〜。あっ、テストで百点取らないとその場で失格だからね。頑張れ〜！」