あやかし戦記 裏側の世界へようこそ
「大丈夫よ、レオナード。私とヴィンセント、それにアレンくんがちゃんと教えるわ」

「幼なじみ一人が脱落って何か嫌だしね、教えるよ」

「僕も協力するよ!レオナードくんと一緒に団員になりたいからさ」

「うう……、みんなありがとう!」

泣き出しそうなレオナードをみんなで慰めていると、バタンと大きな音が響く。前を見ればチターゼが教室のドアを乱暴に閉めていったところだった。その横顔に感情はない。

「そういえば、チターゼさんってチェルシーさんたちの点呼で返事をする以外声を聞いたことがないな……」

ヴィンセントがそう言うと、「昔はめちゃくちゃよく笑ってよく喋る子だったんだけど、色々あってね」と寂しげな顔でアレンが返す。

「そんなことより、移動しないと遅れちゃうわ。全員失格になっちゃう!」

イヅナが時計を指差せば、もうあと五分ほどで格闘技の授業が始まるところだ。一分でも遅れればまずい。イヅナたちは全速力で三階から外にある武道場まで走り、何とか間に合った。ここまで走れたのは、毎朝行われる山道でのランニングのおかげだろう。

「ギリギリだな」
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