あやかし戦記 裏側の世界へようこそ
時計を見つめるツヤにイヅナたちは謝り、畳でできた床に座る。

この武道場では、世界に伝わる様々な格闘技を学び、自身が持つ武器が使い物にならなくなった時、妖と戦えるようにするための大切な訓練だ。

「さて、今日は何人脱落するのかねぇ……」

ツヤがイヅナたちを見つめながら言い、何人かが体を震わせた。

入団試験が始まって数週間、三十人近くいたはずの仲間は一日が経つごとに減っていき、今は十人ほどしかいない。それは、この入団試験がとても難しく厳しいものだという証だ。

(今日まで残っていられるのは、レオナードやヴィンセントのおかげね)

イヅナは座学では問題なく百点を毎回取っているのだが、格闘技など体を動かすことは苦手な方だった。しかし、レオナードやヴィンセントが丁寧に教えてくれるため、模擬戦でギリギリながらも勝つことができ、生き残ってこれたのだ。

「今日は、最強の格闘技と呼ばれるジークンドーを教える。ジークンドーは目潰しや金的など、普通の格闘技では狙うことを禁止されている部分も狙って構わない。数多ある格闘技の中で、実戦向きと言ってもいいだろう」
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