あやかし戦記 裏側の世界へようこそ
ツヤがそう説明をし、お手本の相手役として連れてきたギルベルトに素早い動きで目潰しをしようとする。だが、ギルベルトはそれを避けてツヤに攻撃を笑顔で仕掛けた。

「ッ!あたしは寸止めをするつもりだぞ!?何故お前が攻撃をしてくる!」

「ええ〜、嫌だよ。俺みたいな体の大きな男が、しかも騎士団の団長がさ、君みたいに身長百五十もなくて、千歳なのに振袖ついた制服着ている鬼に負けるなんて、プライドが許さないっていうか……」

ギルベルトがそう言うと、ツヤの頭にツノが生え、爪が伸びていく。人間の姿から鬼に変わったのだ。その顔は怒りに満ちている。

「……テメェ、あたしの身長は確かに百四十九センチだ。でもそれは今関係ないだろ。それにこの制服はあたしが頼んだんじゃなく、仕立て屋が勝手に作ったんだ!お前はあたしの講義の補佐になればいいんだ。……骨、また折られたいのか?」

「望むところだよ。君はいいよね、骨を何本折られてもすぐに治るんだから。……だからって諦めないけど」

二人は火花を散らせながら武道場の外に出て行く。ツヤとギルベルトが揃うとかなり高い確率でこのようなことが起きるのだ。

「……イヅナ、今のうちにたっぷり教えてやるよ」

レオナードに肩を叩かれ、イヅナは「ええ!お願いします」と言う。そしてみっちりレオナードとヴィンセントから、ジークンドーを教えてもらい、模擬戦も何とか乗り切った。
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