あやかし戦記 裏側の世界へようこそ
次にツヤと戦ったのはヴィンセントだった。ヴィンセントはギルベルトが「始め!」と言った直後にツヤよりも早く走り、ツヤから離れた。そして、ツヤの足元に矢を放ち、ツヤが矢を避けようと地面を蹴って浮き上がった足に矢を命中させた。

次に戦ったのはレオナードだ。レオナードはツヤに対して鎌を何度も振り下ろして攻め込み、ツヤの攻撃は防御したり、当たってもダメージが少ないように動いていく。そして、ツヤを壁際に追い込んだところで首に鎌を振り下ろしたのだが、首を完全に斬り落とすことはなく、首にかすり傷を負わせる程度に加減していた。

「鬼とはいえ、綺麗な女性をあまり傷付けたくないからな!」

「……何を言っているんだお前は。ふざけてるのか!」

ドヤ顔で言ったレオナードは顔を真っ赤にしたツヤに殴られ、吹き飛ばされて気絶してしまった。そして、使用人たちに脇を抱えられて連れられていく。

幼なじみ二人が入団してしまったことに、イヅナは緊張とプレッシャーがますます大きくなっていく。今にも倒れてしまいそうで、何とか足に力を入れて踏ん張っていた。

「イヅナさん、顔色真っ青だよ。お水飲んで」
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