あやかし戦記　裏側の世界へようこそ
戦い方、それは最終試験を受けるまでにギルベルトやツヤ、チェルシーにエイモンからたくさん教わってきた。しかし、どれだけ教えてもらってもイヅナは四人の戦い方を体で覚えることはできない。力の差がありすぎるからだ。

（でも、ヴィンセントたちの戦い方なら何とか覚えられる）

背後から気配を感じ、素早くレンガの壁の後ろに隠れる。すると、レンガの壁の上の部分がガンッと大きな音を立てて崩れた。ツヤの拳が当たったのだ。

イヅナの足元にバラバラになったレンガが落ちてくる。イヅナはそれを拾い、ツヤに向かって投げた。

「それであたしの気を引くつもりか？生憎だが、あたしは二度も同じ手に引っかかるつもりはないぞ」

ツヤは不敵に笑ってレンガを避けていく。イヅナが投げたレンガを地面を蹴って避け、また地面に足をつけてを繰り返す。その動きを見て、イヅナはタイミングを伺っていた。

（今ね！）

イヅナは、ツヤが地面に着地したタイミングを逃さなかった。何の躊躇いもなく薙刀を投げ、その薙刀は猛スピードで飛んでいく。そして、薙刀はツヤの腹を貫通した。

「ッ！」

ツヤが驚き、闘技場が静かになる。イヅナは目の前にいるツヤを見つめた。腹に薙刀が突き刺さったせいで、血が大量に流れている。人間なら、失血性ショックを起こしてもおかしくない。
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