忘れたとは言わせない。〜エリートドクターと再会したら、溺愛が始まりました〜



結局その後は、天音が急患で病院から呼び出しをされたためそのままお開きとなった。



「悪い。呼び出された。また連絡する。無視すんなよ?」


「……わかってますよ」



弱みを握られてしまっては、そう返事をするしかない。


宣言通り天音は料金を払ってくれて、私に財布すら出させなかった。


丁重にお礼を伝えて別れ、そのまま天音が手配してくれたタクシーに乗り込むと、自宅の住所を伝えて滑らかに発進する。


十五分ほどで着いた自宅である古いアパートの中に入ると、すぐにお風呂を沸かしてシャワーを浴びた。


熱いお湯を頭から被る。


自分の髪の毛から滴り落ちるお湯を見つめながら、今日のことを思い返していた。


まさか、天音と再会する日が来るなんて思ってもみなかった。


そもそも、天音と会ったのは傑くんの結婚式の日だけ。


あの日、私たちは初対面で、酔った勢いもあって一夜を共にしたのだった。


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