忘れたとは言わせない。〜エリートドクターと再会したら、溺愛が始まりました〜
天音の言っていた通り、そこは私の部屋の真向かいだった。
どこぞの貴族のような高そうな家具ばかりが並ぶ部屋は、当たり前だが私の部屋よりも豪華だった。
そこで二人、ソファに座ってワインを飲み直す。
口当たりがまろやかで、フルーティな味がとても美味しい。
「このワイン旨いよな。近くにワイナリーがあって、そこから直接卸してるらしいよ」
「へぇー……そうなんだあ。私、このワインすっごく好き。フルーティーで美味しい」
「確かに、飲みやすくて女が好きそうな味だよな」
「うん」
普段はこんなに飲まないのだけど。
美味しさに負けて飲みすぎた。
「……貴方は、傑くんの友達?」
「あぁ。大学の頃からのな」
「ふーん。じゃあ貴方もお医者様なんだ」
「まぁな。お前は?」
「私はただの大学生。まぁ、内定ももらったし四月から就職するけど」
酔っていると、どうも敬語も外れてしまう。
怒らないみたいだからいっか。なんて。グラスを傾けながら微笑んだ。
そのうち会話が途切れ、静かな時間が流れた。
多分、私はそこで少し寝てしまったんだと思う。
気が付くとベッドの上に寝ていて、目の前には男性の顔のドアップが。
「ひっ……!?」
「……あ、やっと起きた」
驚いて小さく悲鳴を上げた私を、その男性、もとい、天音は呆れたように見つめた。
「人のこと誘惑しといて、自分は寝るんだもんな。良い身分だよなマジで」
「なっ……なに……」
何が起こっているのかがわからなくて、言葉に詰まる。
「なにって……だからお前が誘ってきたんだろ?」
そう言った直後に、全身を走るような甘い刺激が走って「あぁっ……!?」と甲高い声が漏れた。
思わず手で口元を押さえるものの、途切れることなく襲ってくる刺激に漏れる声は抑えられない。
一体何が起きてるの!?
なんとか視線を動かすと、私の胸に吸い付くように舐めている天音がいた。
「な!?なんで!?……あ、あぁっ……」
胸の頂を口に含み、舌で転がされてまた甘い吐息が漏れる。
天音の右手はもう片方を弾くように弄り、左手はお腹を通って足へ向かい、内腿を何度も摩る。
その動きがいやらしくて、それすらも刺激に感じてしまって身を捩る。