忘れたとは言わせない。〜エリートドクターと再会したら、溺愛が始まりました〜
進展
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お風呂から上がってスキンケアを終え、三年前と同じようにベッドの中に潜り込む。
三年前の出来事を全て思い出し、私は頭の中がぐちゃぐちゃでよくわからない感情でいっぱいだった。
溜め息は止まることを知らず、私の身体からどんどん逃げていく。
溜め息を吐くと幸せが逃げる、なんて言うけれど。
それが本当ならば、私は今日だけで大量の幸せを逃してしまった気がする。
そんな馬鹿馬鹿しいことを考えているうちに、スマートフォンが一度ブルっと震えた。
それは通知で。
"今日は時間くれてありがとう"
天音から送られてきたメッセージだった。
まさかそんな律儀だとは思っていなかったため、そのギャップに驚いてスマートフォンの画面を何度も見てしまう。
"しばらくオペが続くから会えないけど、時間ができたら連絡する"
"だからまた美味い飯でも食いに行こう"
"逃げんなよ?"
その文脈から、天音がニヤニヤしながら送ってきたであろうことが容易に想像できた。
「……私、もしやヤバい男と関係を持ってしまったのでは……?」
ポロッと口から零れ落ちた言葉は、誰にも拾われることはなく。
私の手の隙間を抜けてスルッと地に落ちていった。