忘れたとは言わせない。〜エリートドクターと再会したら、溺愛が始まりました〜



顔の赤みが引いた頃。まず着いた先は、セレクトショップ。


車を降りて、首を傾げる。



「……お買い物ですか?」



食事に行くのではなかったのだろうか。



「うん。唯香の服をね」


「え!?」



驚きの言葉と共に腕を引かれ、繋がれた手を振り解く間も無くお店に入る。



「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」


「あぁ。今日は彼女とディナーに行くから、見繕ってもらえるかな」


「かしこまりました。こちらへどうぞ」


「え?……え?」


「唯香、行っておいで」



わけもわからず目の前で繰り広げられる会話。


いつのまにか私は奥の部屋に案内され、着せ替え人形のように様々なワンピースを身につける。



「こちらでいかがでしょうか」


「うん。いいね。じゃあそれ全部ください。そのまま着て行くからタグも取ってもらえますか」


「かしこまりました」



深々とお辞儀をして立ち去るスタッフの方に、私はドレスアップした姿で困惑した。



「え、ちょっと……あ、天音?」


「ん?何?」



しかし私の気持ちなど微塵も理解していない天音は私の全身をじっくりと見つめ、満足したように笑みを浮かべていた。



「これ全部って……どういうことですか」


「これから食事に行くから、それのドレスコードに合わせただけだけど?ま、俺からのプレゼントだと思って受けとって」


「プレゼントって……」



やっぱりドレスコードあるんじゃんか!それなら事前に言ってくれれば自分で用意したのに!
……いや、私の財力ではこんな高そうな服は買えないけれど。


それっぽいものなら探せば用意できたのに!多分!

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