忘れたとは言わせない。〜エリートドクターと再会したら、溺愛が始まりました〜
今日は元々私が誘ったけれど、食事のお店は天音が予約してくれていた。
ドレスコードに沿って、食事に向かう前に寄った前回と同じセレクトショップ。今日も天音は私にシンプルなバーガンディのシフォンワンピースをプレゼントしてくれた。華奢なデザインがとても私好みで、一緒に合わせてくれたネックレスがよく映える。
恐縮しながらもそれに着替えて、ヘアメイクを整えてもらってから向かった先は、六本木にある有名ホテルの最上階にある、鉄板焼きのお店だ。
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」
大きな鉄板の前にカウンターが五席。完全予約制だというこのお店は希少なお肉や海鮮が楽しめるらしく、天音のおすすめのお店なのだと言う。
まだ若く見えるシェフが一人で私たちを出迎えてくれた。
大きな窓の外に見える夜景が美しくて、とても幻想的。そんなラグジュアリーな雰囲気漂う店内で、熱々の鉄板料理をゆっくりと味わった。
頰が落ちそうなくらいに柔らかいお肉を食べながらワインを嗜みつつ、弾む会話を楽しんだ。
その後ホテル内にあるバーに向かい、隠れ家のような落ち着いた空間でキラキラと輝くカクテルを楽しんだ。
「そうだ。天音の話も聞かせてください」
注文したキールを飲みながら、隣を見上げた。
「俺の話?」
「はい。私と出会う前の話」
そんなこと聞いてどうするんだ?と言いたげな視線に笑いつつ、天音の話に耳を傾けた。