忘れたとは言わせない。〜エリートドクターと再会したら、溺愛が始まりました〜
「結婚前提なら、叔父さんにもちゃんと報告しろよ?俺が取り持ってやるから」
「うん。ちゃんと自分で報告しないとね。ありがとう」
その後凛花ちゃんが寝ている間に三人でお茶を飲みながら天音の話をしたり、起きた凛花ちゃんと遊んだりあやしてみたり。
迷惑になるからと夕方になる前に帰ろうと思っていたものの、梨香子さんに引き止められてなんと夕食までご馳走になることに。傑くんが凛花ちゃんを見ている間にお寿司の出前をとる。
天音に二人の家にいて夕食までご馳走になると連絡すると、仕事が終わり次第迎えにきてくれるらしい。
梨香子さんに伝えたらニヤニヤしながらからかわれた。
「じゃあ天音くんの分も出前取ろうか。そうしたら唯香ちゃんの負担も減るし」
「いやいや、私たちにそんな気遣わないでくださいね?」
「いいの。せっかく来てくれたんだし、それくらいさせてね」
「……ありがとうございます」
梨香子さんの好意をありがたく受け取り、どうにか出前金額の半分を出させてもらうことで合意した。
天音は仕事を急いで終わらせてきたらしく、お寿司が届いてから一時間ほどで百瀬家に到着した。
まさか自分の分まで用意されているとは思っていなかったらしい天音は、お寿司を見て嬉しそうに声を上げる。
「天音くん、こっち、唯香ちゃんの隣どうぞ」
「俺まで良かったのか?」
「うん。二人の話も聞きたかったし」
梨香子さん、さては天音からも話を聞き出す気だな……?
天音が余計なことを言わないように先に釘を刺しておくべきだった。
しかし天音は梨香子さんからの質問攻めに思いの外当たり障りなく答えていった。
もちろん三年前のあの日、傑くんと梨香子さんを部屋まで運んだ後は一緒に飲んだだけだと濁してくれた。
……いや、別にバレたところで何があるわけでもないんだけどね?私のメンタルが持たないからね……。
「……ありがとう」
天音に小さくお礼を言うと、
「お礼に後で唯香からキスして」
「なっ……」
耳元でそっと囁かれて、一瞬にして私は真っ赤に染まる。
それを見て天音は楽しそうに微笑んでいて、私たちの様子に梨香子さんは「らぶらぶね〜」とからかい、傑くんは
「あっま……ダメ、俺こいつらのこういうシーン胸焼けして見れないかも……」
と失礼極まりない発言を残して「梨香子、凛花寝かしてくるから俺の分も寿司食っていいよ」と凛花ちゃんを抱っこして寝かしつけに行った。