忘れたとは言わせない。〜エリートドクターと再会したら、溺愛が始まりました〜
「……口開けて」
唇が触れた状態で喋るから、吐息が入り込んできてくすぐったい。
うっすらと口を開けると、熱い舌がねっとりと私の口内を犯していく。
「……ほら、唯香から」
「でも……」
「お願い」
「……っ」
不意にされた"お願い"と、愛おしさが溢れている優しい笑顔。
そんな顔をされたら、まるで私がわがままを言っているみたいだ。
その笑顔を数秒見つめて、天音は諦めてくれる気もないし離れるつもりもないと悟ってしまう。
……どうにでもなれっ!
意を決してギュッと目を瞑り、触れるだけのキスをする。
「っ、恥ずかしいから、私にはこれが限界っ」
顔を真っ赤に染め上げて下を向く。
しかし次の瞬間、グイッと顎を持ち上げられたかと思えば、すぐに深いキスが私の呼吸を奪う。
「ふぁっ……んあ、んぅぅ……」
何度も角度を変えながら、私の唇を味わうようなキス。甘くて甘くて仕方ない。
「……今はまだ許すけど。今度はこれくらいのな」
「なっ……む、無理!」
「拒否権はねーよ。……じゃあ、このまま風呂行きますか、お姫様?」
「ひめっ……え!本気で一緒に入るんですか!?」
「当たり前だろ」
当然のように言い放ち、慌てる私の身体を横抱きにして颯爽と洗面スペースへ向かう天音。
もちろん、天音と一緒にお風呂に入って何も無いわけがなく。
上がる頃には私はのぼせてしまっており、天音はすこぶる上機嫌でそのままベッドにまで拉致られるのだった。