置き去りにされた花嫁をこの手で幸せに
先へ戻ると大介くんにお願いしていた資料を受け取り確認する。
さすがきちんと出来ていて分かりやすい。頼んだこと以上のこともできている。
「大介くん、ありがとう。よくまとまってるね」
「ありがとうございます。槇村さん、そろそろお昼ですけど一緒にどうですか?顔色良くないしうどんでも行きませんか」
本当はコンビニで買ってきたおにぎりがあったが加賀美くんとのやりとりのあとから悶々とする気持ちが治まらない。一度外に出て気分転換したいと思っていた。大介くんと一緒なら安心だし行こうかなと思い私は立ち上がった。
大介くんは私の知らない小さなうどん屋さんへ連れていってくれた。
人気のない路地にあり言われなければ素通りされそうなほどに小さな門構え。暖簾もない。
扉を開けると出汁のいい香りがし、食欲をそそられる。
こんな小さな門構えで見落とされそうなのに満席で穴場の美味しい店であることをうかがわせる。
「大介くん、ここどうやって見つけたの?」
小さな声で聞く私にこっそり教えてくれた。
「新人の頃、ご飯を食べに出ようとしたら迷子になって。で、暖簾がないけど店っぽいなと見てたんですけどたまたま出てきた客がいて、その時のこの香りにそそられて怖いもの知らずではいったんです。今思えば料金のこととか何にも考えずに飛び込んだんです。もし隠れ屋的な有名店なら新人の給料で払えるかわからないのにね」
「そっか。でも通えてるってことは普通なんだよね?」
「えぇ、至って普通でした。でも出汁の香りに惹かれただけあって物凄く美味しいです。今でもこんななのでみんなに広めないでくださいよ」
「うん。楽しみだなぁ」
5分ですぐに席が空いた。
私は温かい天ぷらうどんを頼んだ。
すぐに運ばれて来て大きなエビに茄子とししとうの天ぷらがのっていた。
とても美味しくて心が温かくなった。
「少し顔色良くなりましたね」
帰り道大介くんにそう言われた。
「ごめんね、先輩なのに後輩に心配かけて」
「先輩とか関係ないですよ。個人的に心配になっただけで」
「ありがとう」
私は大介くんに優しさ感謝していた。
外に連れ出してくれてよかった。
「槇村さん、スマホが鳴ってませんか?」
音を小さくしており気が付かなかったが確かに鳴っているようだ。
慌てて取り出すと加賀美くんからだった。
「もしもし」
『おい!今どこだ』
「え?会社の前だよ」
『大丈夫か?』
「?うん。今うどん食べて戻るところ」
『ならよかった。また阿川に絡まれてるんじゃないかと……ま、無事ならいいんだ』
それだけ言うと電話が切れた。
スマホを見ると着信14件になっており、全て加賀美くんからだった。
あまりの多さに驚いたが、少しだけ嬉しくなった。
大介くんと戻ると加賀美くんは席にいなかった。
近くにいた梨花ちゃんに声をかけると今さっき食事に行ったとのことだった。
私のことを心配して探してくれたのかな、そう思うとさっきまで少し嬉しかった気持ちが申し訳なさの方が大きくなった。
私がのんびり大介くんと食べている間、私を探してくれてたんだ……。
さすがきちんと出来ていて分かりやすい。頼んだこと以上のこともできている。
「大介くん、ありがとう。よくまとまってるね」
「ありがとうございます。槇村さん、そろそろお昼ですけど一緒にどうですか?顔色良くないしうどんでも行きませんか」
本当はコンビニで買ってきたおにぎりがあったが加賀美くんとのやりとりのあとから悶々とする気持ちが治まらない。一度外に出て気分転換したいと思っていた。大介くんと一緒なら安心だし行こうかなと思い私は立ち上がった。
大介くんは私の知らない小さなうどん屋さんへ連れていってくれた。
人気のない路地にあり言われなければ素通りされそうなほどに小さな門構え。暖簾もない。
扉を開けると出汁のいい香りがし、食欲をそそられる。
こんな小さな門構えで見落とされそうなのに満席で穴場の美味しい店であることをうかがわせる。
「大介くん、ここどうやって見つけたの?」
小さな声で聞く私にこっそり教えてくれた。
「新人の頃、ご飯を食べに出ようとしたら迷子になって。で、暖簾がないけど店っぽいなと見てたんですけどたまたま出てきた客がいて、その時のこの香りにそそられて怖いもの知らずではいったんです。今思えば料金のこととか何にも考えずに飛び込んだんです。もし隠れ屋的な有名店なら新人の給料で払えるかわからないのにね」
「そっか。でも通えてるってことは普通なんだよね?」
「えぇ、至って普通でした。でも出汁の香りに惹かれただけあって物凄く美味しいです。今でもこんななのでみんなに広めないでくださいよ」
「うん。楽しみだなぁ」
5分ですぐに席が空いた。
私は温かい天ぷらうどんを頼んだ。
すぐに運ばれて来て大きなエビに茄子とししとうの天ぷらがのっていた。
とても美味しくて心が温かくなった。
「少し顔色良くなりましたね」
帰り道大介くんにそう言われた。
「ごめんね、先輩なのに後輩に心配かけて」
「先輩とか関係ないですよ。個人的に心配になっただけで」
「ありがとう」
私は大介くんに優しさ感謝していた。
外に連れ出してくれてよかった。
「槇村さん、スマホが鳴ってませんか?」
音を小さくしており気が付かなかったが確かに鳴っているようだ。
慌てて取り出すと加賀美くんからだった。
「もしもし」
『おい!今どこだ』
「え?会社の前だよ」
『大丈夫か?』
「?うん。今うどん食べて戻るところ」
『ならよかった。また阿川に絡まれてるんじゃないかと……ま、無事ならいいんだ』
それだけ言うと電話が切れた。
スマホを見ると着信14件になっており、全て加賀美くんからだった。
あまりの多さに驚いたが、少しだけ嬉しくなった。
大介くんと戻ると加賀美くんは席にいなかった。
近くにいた梨花ちゃんに声をかけると今さっき食事に行ったとのことだった。
私のことを心配して探してくれたのかな、そう思うとさっきまで少し嬉しかった気持ちが申し訳なさの方が大きくなった。
私がのんびり大介くんと食べている間、私を探してくれてたんだ……。