置き去りにされた花嫁をこの手で幸せに

再出発

月曜日、私は久しぶりに電車に揺られ職場に向かった。

私の働くパールビレッジリゾート(Pearl village resort)はホテルを日本各地にもつ大手の企業。最近では海外にも拡大し、成長途中の上場企業。
そんな会社に就職し、私は企画戦略室に配属され7年。市場調査や他社調査、マーケティング、顧客ニーズのデータ分析などあらゆるデータを集める。それをもとに当社での展開を考え企画立案していくのが私の仕事。
やっとそんな仕事にやりがいを見出していた。
同期の加賀美くんと競い合っているつもりではあったが、私はどう見ても加賀美くんの足元にも及ばず、企画した資料を見られるたびにダメ出しされ赤を入れられてしまう。
同期なんだからそんなことされたら怒ってもいいとは思うが彼の意見は的を得ており納得させられてしまう。
だから“打倒加賀美”と勝手に思いながら働いている。
加賀美くんに負けないようにと常にアンテナを張り、私は情報収集してきた。
ただ、企画戦略室の雰囲気は私と加賀美くんをセットにしたがる傾向にある。きっとお互い忌憚のない意見を言い合い、切磋琢磨していると思っているからではないか。
違うのに。
私は負けたくないだけなのに。
もともと物事を白黒ハッキリする方が好きで決断は早いほうだと自負している。悩むより直感で選ぶことも多いので失敗もあるが猪突猛進のタイプだと思う。
だから加賀美くんが私の猛進を揶揄しながらも軌道修正してくれているとはちょっと感じてる。
室長たちもだからセットにするのだろう。
今回の沖縄の仕事はとても大きなやりがいのある仕事だと思う。だからこそ私たちペアで動かされるのだろう。
結婚のことはもう吹っ切ってこの仕事をやりきってやると意気込みながら社内へ足を踏み入れた。
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