嘘は溺愛のはじまり

「議事録とか、記念誌とか、それの資料とかが詰め込まれてるの。普段は議事録を置きに来るぐらいしか来ないんだけど、今は周年記念誌作ってるから資料を取りに来たりとかするかもーって思って」

「結構広いですね」

「そうなのよねー。会社創立からの色んな資料があるらしいから」


奥までズラリと並べられた棚には、きちんと並べられた議事録の他に、“○○年資料”と書かれた段ボールがいくつも棚に置かれている。

見たところ手前ほど新しいから、一番奥が創立した頃の古いものなのかも知れない。


「昨日の会議も記録取ってたし、新しい議事録が出来上がったらまたここに持ってくることになるから、一応覚えておいてねー」

「はい、分かりました」

「まあ、その辺は基本的に総務課の管轄だけどねー。でも秘書課も無関係じゃないから」


忘れがちだけど、我が秘書課は『“総務部” 秘書課』だ。

総務課とは業務的にも連携が必要だし、お互い持ちつ持たれつでやって来たらしいから、私は野村さんの言葉に「はい」と深く頷いて、二人で書庫を後にした――。


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