嘘は溺愛のはじまり
再婚の話を聞かされた数日後、二人は本当に役所に結婚の届け出をしたらしい。
継母はとても若くて綺麗な人で、父との再婚後、すぐに妊娠が判明する。
すぐにお腹が目立ち始めたので、私が聞いた妊娠月数と実際とはおそらく違ったのだろう。
きっと父も、母との婚姻関係があるうちから今の継母と関係を持っていて、あの事件は父にとって渡りに船だったのかも知れない、と思う。
私は、と言うと――。
あの事件以来、男の人が極端に苦手になってしまった。
姿が見えるだけでもガタガタと震えるほどで、普通に授業を受けることも出来なくなって……。
学校を休むとお腹の大きい継母と二人きりになってしまうので、家に居づらくて――結果、保健室登校となった。
そんな私のことは、学校で随分噂されただろうと思う。
二年生の夏休み明け、明らかに様子がおかしい私のことを『暴漢に襲われた子』として扱う人が増えた。
具体的にどう言われていたのかは分からない。
影でこそこそと何かを囁く人たち、あからさまに私を挑発してくる上級生の男子、立場上は気にしていないように見せかけているけど私の身体を舐めるように見てくる年配の男性教師……。
ほんの一部の、そう言う態度をとる人だけが目についてしまう。
そして、私を見る誰もがそんな風に思ってるんじゃないかと、邪推してしまう……。
――本当に最低最悪な毎日だった。