嘘は溺愛のはじまり
その後、保健室の先生のすすめでカウンセラーの先生についてもらって話をするうちに、少しずつ、教室へも顔を出せるようになっていた。
だけどやっぱり普通に接することは出来なくて、ようやくほぼ毎日教室へ行けるようになったのは三年生になった頃。
仲の良い女友達が私を守ってくれるようになったからだ。
それが、以前に奥瀬くんから名前が挙がった、橋本香織と遠藤由里奈。
彼女たちが居なければ、私は未だにどこかに閉じこもっていたかも知れない。
どこへ行くにも二人が私を守ってくれて、相談に乗ってくれた。
彼女たちが居てくれたから、私の今がある。
二年生の時の担任が男性だったからずっとまともな進路相談ができなかったこともあって、志望校を共学の私立大学にしたままだった。
三年生になって、学校側の配慮で女性の担任になってやっと進路の相談が出来るようになったけれど、しばらくは共学の大学から変更せずにいたのは、そこに行きたい学部があったからだ。
それでもやっぱり男女共学の大学に進むのは心の負担が大きいだろうと先生から説得され、直前になって女子大の家政科へ行くことにした、と言うのが私の進路変更の真相だ。
当然、担任やカウンセラーの先生と、香織と由里奈しか事情を知らない。