嘘は溺愛のはじまり
一瞬視線が絡んだあと、伊吹さんは私の唇に口づけた。

最初は軽く。

だけど次第に熱い口づけへと変わる。

貪るようなキスについて行けず、息継ぎが上手く出来ない。

何度も何度も口づけられるのと共に、伊吹さんの手が私の身体に触れる。

もう、どこが私の弱いところかを伊吹さんにはすっかりバレてしまっているから、私にはなすすべがなかった。


触れられたところから、熱く、熱を持ち始め……。


与えられる甘い刺激に情けない嬌声を上げそうになるのを、なるべく我慢する。

代わりに、はぁ、と息を吐くけれど、身体の熱はそれぐらいでは逃げてはくれない。


――気がつくと、いつの間にか私は寝室のベッドへと運ばれていた。


私を見下ろす伊吹さんの瞳が、さっきよりも熱さを増している。

おかしい。

確か、今日はゆっくりとふたりで映画を見るはずだった、のに……。

いつの間にか伊吹さんに組み敷かれ、熱い息を吐くことになっている。


「……っ」


たまには伊吹さんにゆっくりしてもらおうと選んだはずなのに……。



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