嘘は溺愛のはじまり

――しかし世の中というのは、本当に思う通りにならないものだ……。


アパートの大家さんが突然私の部屋を尋ねて来て、こう言った。


「あのね、本当に申し訳ないんだけど、このアパート、老朽化しすぎてるから、来月で取り壊すことにきめたんだよ。悪いね。次住むところ、早めに決めてね」


ああ、なんと軽い言い渡しだろうか……、大家さん……。

便利な都心にある割には、建物が古すぎると言う理由からとても安いお家賃ですごく助かっていたのに、取り壊しだなんて。

あまりにも酷……。



――かくして、私は、無職・家無し、となった……。


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