嘘は溺愛のはじまり
「えーっ。テーマパークのお土産ー? もしかすると、デートだった!?」
「いえ、まぁ……、たまたま招待状をもらったとかで、ちょっと……」
「若月ちゃん可愛いもんねー、そりゃ彼氏ぐらいいるかー。え、どんな人!?」
「えっ? えっと、いや、彼氏では、なくてですね……」
昨日のお土産を先輩の野村さんに渡したところ、朝からこんな風に詰め寄られることに……。
「はいはい、若月ちゃんの主観は、却下ーっ」
「ええ!?」
まさか我が社の専務である伊吹さんと一緒に行ったとは言えず、誰と行ったかと言うところを伏せて曖昧な感じでお土産を渡したら、この反応だった。
女の子同士で行ったとは思ってもらえないのかな……。
普通に女の子のグループも結構いたんだけどなぁ。
「若月ちゃんの彼氏って、どんな人ー???」
興味津々で聞いてくるので、私はもう一度「いや、あの、彼氏じゃないです」と返した。
「またまたー。若月ちゃん可愛いから、彼氏の一人や二人や十人、いや、いっそ百人ぐらいいても、おかしくないよねー!?」
「の、野村さん、百人もいたらダメだと思いますし、そもそも一人もいませんっ」
「いやいや、その手は食わないわよ!?」
「どんな手ですかっ」
どうやら完全に誤解されているらしい。
何度も「彼氏じゃないです」と言っても、なぜか全然信じて貰えない。