何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて。
未来へ
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一ヶ月後。
引っ越しを終えて荷解きが落ち着いたのは一日だった後だった。
隼輔は慣れない新居にきょろきょろと落ち着かない様子だったものの、荷解きの合間に近所にある大きな公園に向かうととても喜んで遊んでいた。
家までの帰り道にあるたい焼き屋さんに寄って私と隼也が買ったたい焼きの生地の部分だけ食べさせると、美味しそうに顔を綻ばせてもっともっと!と要求してきたのが可愛い。
お散歩しつつ家にたどり着いた頃にはすっかり慣れたのか楽しそうに笑っていた。
少し託児所と会社からは遠くなってしまったけれど、今までが近すぎたため許容範囲内だ。
むしろ駅近で周りに何でも揃っているためこっちの方が暮らしやすそう。
何よりもこれからはずっと隼也と一緒にいられるのかと思うと、三年前の私には考えられないほどの幸せに何故か挙動不審になってしまう。
「どうした?」
ダイニングに夕食を並べていると隼也が首を傾げる。
「……いやぁ、なんか未だに隼也と一緒に暮らす実感が湧かなくて」
頭を掻くとわかるわかる、と何度か頷く。