何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて。
「結婚指輪は、一緒に選びに行こうな」
「うんっ……うんっ」
きらきらと輝くダイヤモンドを見つめていると、隼也が私の身体を引き寄せる。
ふわりと抱きしめられた腕の中で、嬉し涙を流す。
隼也は何も言わずに、ただ力強くぎゅっと抱きしめてくれて。それが何よりも心地良くて、心の底から安心する。
そろそろ寝ようか、と涙を拭いて立ち上がり、寝室で寝ている隼輔を間に挟むように寝転がる。
そのふわふわの頬を私が撫でて、ふわふわの髪の毛を隼也が撫でて。
触りすぎてしまって隼輔が唸りながら身を捩る。
それにクスクスと小さく笑いながら二人で顔を見合わせた。
「舞花」
「ん?」
「舞花も隼輔も、愛してる。必ず幸せにするから」
甘い笑顔と共に降り注ぐキスに、そっと身を委ねた。
【何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて】
End,