何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて。
いつのまにか私はベッドに寝かされ、隼也が馬乗りになるように私の上にいる。
帰ろうと思った時にリモコンで部屋の照明は消したから、カーテンの隙間から覗く月明かりだけが私たちを照らしていた。
隼也は私を見下ろしながら、顔にかかる長めの前髪をクッと後ろに流す。
そして露わになったその切長の目が、ゆっくりと私を捉えた。
さっきまで寝ていたとは思えない、色気があふれるその姿。
「……しゅ、んや?」
心臓が、おかしい。
バクバクと、聞いたことがない音量で動いていて、聞いたことがないスピードで脈を打っている。
自分の身体が、自分のものじゃないみたい。
無意識のうちにごくりと唾を飲み込む。
私の両手を包み込むように、隼也のそれで優しく繋がれて。もっと心臓がうるさくなる。
誰か落ち着く術を教えてほしい。
熱を帯びた目に、私の呼吸がどんどん浅く早くなっていった。
「なぁ、舞花」
「な、に?」
その目は私を捕らえたまま逸らすこともせず、真っ直ぐに私を見つめてくる。