何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて。



「俺、今やばい。舞花がめちゃくちゃに可愛く見える」


「……え?」


「舞花って、こんなに可愛かったっけ?」


「隼也……?」



聞き間違いかと思って、何度も聞くものの。



「可愛い。食べちゃいたい」



隼也は、そんなこと私に今まで言ったこともないのに。



「なにを、言って……」



言い終わる前に、重なった唇。


一瞬だけ触れて、すぐ離れて。


それだけで、私は言葉も呼吸も止まってしまう。


それを見て、隼也はフッと笑う。



「っ……」



優しくて、いやらしくて。身体の奥が疼くような、そんな笑顔。


全身が沸騰するかのように熱い。


鼻と鼻が触れ合う距離で、隼也は私に甘く囁く。



「……舞花、俺ダメかも。今、舞花のこと抱きたくて仕方ない」


「しゅんっ……」



私の言葉を吸い取るかのように重ねられた唇。


今度は、さっきみたいに触れるだけじゃなくて、ねっとりとした濃厚なキス。


驚きの余りされるがままだった私は、突然入り込んできた舌に翻弄される。



「ん……んっ」



歯列をなぞられ、私の舌に吸い付くように激しく絡めとられ、甘い声が漏れた。


いやらしい水音が辺りに響き、チュッと鳴った音と共に、少し顔を離してからうっすらと開いた目。


長い睫毛が、目元に影を落とす。


数秒目が合って、すぐにまた激しいキスが降ってきた。



唇に、頰に、首元に、耳に。



縦横無尽に駆け巡るように、私の身体に落ちるキス。


その度に、私は甘い吐息をこぼすことしかできない。


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