何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて。





───でも。



今だけは、この快楽に溺れてしまいたい。


だって、ずっと夢見ていたんだ。



隼也と一緒に歩く未来。


隼也と共にいる未来を。



私は、遠い昔からずっと隼也のことが好きだったのに。


私のことを見ていない隼也を、もう何年も見続けていて。もう無理だ、って。隼也が私を見てくれることは無いって。そう諦めていたのに。


こんな風に抱かれてしまったら、蓋をしてしまい込んでいたはずの気持ちが、ぶり返してしまう。


好き。大好きだよ。隼也。



「舞花……」



今だけ。今だけでいいから、私の名前を呼んで。私を見て。


私だけを、感じて。





───果てたのは、どちらが先だっただろう。


いつのまにか、そのまま眠ってしまっていた。



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