何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて。



だって。


何か返事をしたら、墓穴を掘ってしまいそうで。


実際に会いでもしたら、どんな顔をしたら良いかわからなくて。


何も無かったような振りなんて、絶対できない。


そう思ったらズルズルと連絡できない時間が続き、そのまま無視してしまっている状態が続いていた。


だからって、このままじゃダメだってことは自分でもわかっている。


始業時間まではあと数分ある。


スマートフォンを握り、意を決してメッセージを開いた。



"ごめん、土日ずっと具合悪くて寝てたから充電落ちてたの気付かなかった"



そんな、わかりきった嘘をつく。


するとずっと私からの返事を待っていたのか、すぐに隼也からの電話が鳴った。


しかし、もう始業時間だ。



『あ、舞花!?やっと連絡ついた』


「ごめん。もう仕事始まるから切るね」


『あ、おい!』



これは嘘じゃないから。


そもそも隼也だって仕事だろうに。私にかけてきて一体何をしてるんだか。


隼也に申し訳程度に適当なスタンプを送信して、立ち上がったパソコンでメールチェックを始めた。


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