何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて。
お互いに謝った後、しばらく沈黙が続いた。
お茶を一口飲むと、そのグラスを私の手から抜き取った隼也が、そのままテーブルに置く。
そして私の腕をゆっくりと引き寄せた。
「……本当に、舞花なんだよな?」
「……隼也?」
「本当に、あの舞花なんだよな?俺の知ってる舞花なんだよな?夢じゃないよな?」
その腕の中は、まるでひだまりの中のように優しく、力強く、そして温かかった。
沸騰したように真っ赤に染まりながら歪に固まってしまった私の身体とは裏腹に、隼也の身体はとても冷たくて小刻みに震えていた。
当たり前だけど、寒いわけではないのはわかっている。
だって、隼也の身体がそうやって冷たく震えるのは、昔から極度の緊張の現れだから。
私の存在を確認するように、何度も何度もギュッと抱きしめる。
それに応えるように、私は両手を隼也の背中にゆっくりと回した。
三年前よりも逞しく、そして広くなったように感じる背中。
しかし、何故か今はそれが小さく見えた。
「……うん。私、舞花だよ。隼也」
子どもみたいに震えが止まらない隼也にそう答えると。
「舞花……会いたかった。すっげぇ、会いたかったんだ……」
私が私だと分かったからなのか、隼也はさらにキツく抱きしめる。