何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて。
隼也side
……誰かに、似てる。
舞花の子どもを見て、まずそう思った。
日本人にしては堀の深い顔立ち。相手は外国人か?
いや、でも髪の毛は黒髪だった。もし外国人ならもっと明るい気がする。
肌の色は舞花と同じで白いし、寝起きでもぱっちりとした二重はとても可愛らしいものだった。
相手とは付き合ってたわけじゃない。
しかもその男には他に好きな人がいた?
つまり、遊ばれたのか?遊ばれて捨てられたのか?
舞花は違う、自分が勝手に産んだだけだと言うけれど。
そんなの"はいそうですか"って理解できるほど、俺はまだ人間ができていないし、冷静にもなれない。
そう考えながら運転手に連絡し迎えに来てもらい、三年前と同じマンションに帰った。
少し冷静になろうと、洗面台で顔を洗う。
バシャ、と水を顔に浴びると、少し頭が冷えた気がした。
そのまま排水溝を見つめ、顔から滴り落ちる雫をボーッと眺める。
しかし答えの見えない問いばかりが頭の中を占めており、深い溜息を吐いた。
隣に置いてあったタオルで顔を覆い、水滴を取った後に自然と鏡に目を向ける。
───その時に、思った。