何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて。
Chapter3
本当のこと
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一週間後。
隼也から話があるから会えないかと言われ、昼休みに指定された場所に向かった私は。
「……舞花、ごめん」
開口一番、自ら運転してきた隼也の車の助手席で、頭を下げられていた。
「……何が?どうしたの?」
私が謝る謂れはあれど、隼也に謝られる謂れは無い。
わけがわからなくて隼也の肩に手を添えると、頭を下げたまま隼也はぽつりと呟いた。
「……あの子」
「え?」
「お前の子ども。……俺との子なんだろう?」
ヒュッ……と。無意識に呼吸を止めた。
そっと頭を上げた隼也は、私に視線を向ける。それは私の揺れる目とは反対に真剣そのもので、力強いものだった。
「この間見た時に驚いたんだ。小さい頃の俺にそっくりなんだよ。名前も、俺から一字使ったんだろ?年齢的にもそう考えると全部辻褄が合うんだ」
何を言っているのだろう。
年齢?辻褄?
だって。隼也は、あの夜のことを覚えていないはずなのに。それなのに、どうしてそんなことを。