何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて。
「隼也」
「どうした?」
「……馬鹿って言ってごめん。叩いてごめん」
「ははっ、気にしてねぇよ」
同じように私の首筋に鼻を寄せた隼也に、
「私も、隼也のことが好きだよ」
耳元にそう伝えると、
「……」
無言で身体を少しだけ離して、私の顔を凝視した。
「……舞花、今なんて」
「隼也のことが、好き」
「……まじ?」
「本当は、ずっと昔から。出会った頃から、私はずっと隼也だけが大好き」
信じられない。そんな表情に、今度は私が笑った。
「好きな人との子どもだから、迷いなく産むことに決めたんだよ」
あの日のことを。今までのことを。
ゆっくり、少しずつ語る。
明かされる事実に、隼也は一言も聞き逃さないように真剣に聞いてくれた。