何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて。
甘い時間
ホットミルクを飲み終わった後にお風呂をいただくと、脱衣所に隼也のスウェットが置いてあった。
コンビニで下着は買えたけれどさすがに着替えまでは無かったためありがたく借りることに。
「ふはっ、やっぱデカいな」
「うん、ぶっかぶか」
「こっちきて。裾折ってやる」
おずおずとソファにいる隼也の元へ向かうと、隣をポンポンと叩かれてそこに座る。
そのまま無言で私の手首と足首のところまでスウェットの裾を折り曲げてくれる。
いつも隼輔にやってあげていることを私がされるとは思っていなくて、なんだか甘やかされているみたいで少し恥ずかしい。
「なんか、隼輔いないと静かだね」
丁度終わった頃に話題を変えたのは、ちょっとした照れ隠しだ。
「そうだな。でもたまにはこういう息抜きする時間も必要だろ」
「そうかな。なんか悪いことしてる気分になっちゃうけど」
「ははっ、お前は真面目だな」
隼輔、寂しくないかな。ちゃんと眠れているかな。泣いてないかな。
自分で話題を変えたくせに、そう考えるだけですぐに隼輔のことで頭がいっぱいになってしまう。
隼也はそんな私を見て、そっと肩を抱き寄せた。