何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて。
隼輔は嬉しそうに隼也に抱き着いて「しゅーや!」と頬擦りしていて、リビングに入ると申し訳ないと思いつつも隼也から隼輔を引き剥がす。
「あー!しゅーや!しゅーや!」
「ごめんね隼輔。ちょっと待ってね」
「まーまー!しゅーやがいいー」
「ごめんな。ちょっと待っててな」
「ぶー」
不満そうな隼輔にお気に入りのおもちゃを渡すとすぐに嬉しそうに遊び始めた。
リビングで寛いでいたらしいお父さんも、隼也の顔を見て驚いたように目を見開く。
そりゃあそうだ。突然男の人を連れてきて、しかもその隼也と隼輔は誰が見てもそっくりだから。
お母さんとお父さんを目の前に、ソファに座って向き直る。
ずっと私が隼也のことを好きだったこと。
いろいろあって今では隼也も同じ気持ちでいてくれて、隼也が隼輔の父親だということ。
三年間私のせいで音信不通になってしまい、最近ようやく再会したこと。
隼也は隼輔のことを知らなかったこと。
そして全てを話した後、隼也にプロポーズしてもらったこと。
隼輔の気持ちを尊重しつつ、いずれ結婚を考えていること。
今までのことを掻い摘んで報告すると、隼也はお父さんとお母さんに頭を下げた。