何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて。
「今更現れて、許していただけるとは思っていません。ですが、どうかこれからも、舞花さんと一緒に隼輔くんの成長を側で見守らせてほしいんです」
「隼也……」
隼也の気持ちが痛いほど私の胸を締め付ける。
「お父さん、お母さん。悪いのは全部何も言わなかった私なの。だから隼也を責めないで。私も隼也と同じ気持ち。二人で、一緒に隼輔の成長を見守っていきたいの」
だから、私たちの交際を認めてほしい。
隼也に倣って頭を下げると、正面から二つのため息が聞こえた。
「……二人とも、顔を上げなさい」
お父さんの声にゆっくりと顔を上げる。
するとお父さんもお母さんも、優しく微笑んでいた。
「隼也くん」
「はい」
「隼輔が全然舞花と似ていないから不思議だったんだ。でも君に久しぶりに会ってようやくわかったよ。見れば見るほど、隼輔は本当に父親に似たんだな」
「っ……」
「今日は三人ともうちに泊まっていきなさい。隼也くん、酒は飲めるかい?」
「は、はい。嗜む程度ですが」
「美味い酒があるんだ。一緒に飲もう」
「い、いいんですか……?」
「なに、俺も母さんも舞花が選んだ男に間違いは無いと思ってる。だから元々反対なんてしていないよ」
「確かに舞花から一人で子どもを産むって聞いた時は驚いたけどねぇ……。でもそれほど舞花が覚悟を持って産んだことを私たちは知っていたからね。むしろ舞花の相手が私たちの知らない人じゃなくて隼也くんで安心したくらいよ。……舞花のことをよろしくね」
お父さんとお母さんはそう言って隼也に微笑んだ。