何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて。



数日後。


仕事終わりに隼輔を迎えに行って寮に戻った私は、夕食を食べながら隼輔といろいろな話をしてみた。



"隼也のこと、好き?"


"バイバイするの、寂しい?"


"もし同じお家に隼也がいたら、どうかな?"


"……隼也が隼輔のパパになったら、嬉しいかな?"



聞き方を考えながら隼輔の気持ちを聞いてみる。


その度に


"うん、しゅーやすき"


"バイバイやだ"


"しゅーや、おうちくる?おえかき!"


"ぱぱ?しゅーやぱぱなの?"



会話が成立しない場面ももちろんあったものの、隼輔にとって隼也は友達のような、信頼できる存在になってきていることだけはよくわかった。


隼也の話をすると顔がぱあっと明るくなるのだ。


嬉しそうに隼也と一緒に遊びたいと言う隼輔は、パパという存在を知らないからか、隼也がパパだと言われてもあまりピンときていないようだった。


でも、一緒に住むことに大きな抵抗はなさそう。


ホッと一安心していると、隼也から連絡が入った。



"今週末、うちの実家に行こうと思ってるんだけど、一緒に来てくれないか?改めて舞花と隼輔を紹介したいんだ"



隼也が私の両親に頭を下げてくれたように、私も隼也のご両親にきちんと説明しなくてはいけない。


勝手に子どもを産んだことを、まず謝らなくてはいけない。


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