何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて。
「……そこ、私の場所なのにな……って、思っただけ……」
隼輔だけずるい。私も隼也に抱きしめてもらって眠りたい、だなんて。
そんな恥ずかしいことを考えていた私は羞恥に耐えられなくて赤くなる顔を隠すように反対側を向く。
しかし
「……舞花、こっち向いて」
「……だめ」
「なんで」
「恥ずかしいから」
「いいから、ほら」
問答の末顔の向きを戻されてしまい、薄暗い中私の真っ赤に染まった顔が隼也の目の前に晒された。
「ははっ、真っ赤」
「……うるさい」
「……ほら、おいで」
隼輔を潰さないように、器用に私を引き寄せた隼也の手に擦り寄る。
私の頭をぽんぽんとしてくれる優しいその手に、あっという間に眠気が誘われる。
我ながら単純だと思いつつ、重くなる瞼に抗うことなく受け入れると。
「……おやすみ、舞花」
愛おしい声と共に、額にキスを感じて眠りに落ちていった。