猫目先輩の甘い眼差し


ぐるぐる考えているうちに、既読が付いて5分が経過。


乗れるのなら乗ってみたい。

けど、ただの後輩が乗ってもいいのかな。


外見も性格もいい上、獣医を目指しているだけあって頭もいい。そして家族仲も良好。

これだけでもモテる要素は充分満たしているけれど、プラス、人気部活の部長。


嬉しいけど、レベルが違いすぎるから、なかなか「お願いします」と言えない。

断ろうにも、笹森くんの時みたいに理由がないし……。


何もできずに画面を見つめていると、母から電話がかかってきた。



『もしもし?』

『もしもーし、お父さんお風呂上がったから、早く入って』

『はーい』



返事をして通話終了ボタンを押した。


とりあえず、お風呂入ってきますって伝えて。
乗るかどうかは、湯船の中でゆっくり考えよう。


そうしてお風呂に向かったものの──答えを出すことができず。


現在、丸12時間以上放置している。



「どうしたらいいんだろう。このままじゃ部活に行きづらいよ」

「あらら……でも、先輩がそう言ってるなら、お言葉に甘えてみたら? ただ乗るだけなんだし」
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