猫目先輩の甘い眼差し
「仲良くさせてもらっているとはいえ、同好会に入ってないのにいいのかなって」
ただの後輩が、というのもだけど、それ以上に、知識がない人間が乗ってもいいのだろうか。
乗るだけでも、もし変なところに足をかけてしまったり、はずみで蹴ってしまったら。
大事な部品が傷ついたり、壊れてしまうかもしれない。
「複雑な構造してるから、ちょっと怖いんだよね」
「言われてみればそうだね。エンジンとか、車みたいに隠れてないもんね」
納得する月香ちゃん。
「そこまで心配しなくても……」なんて声が聞こえてきそう。
だけど、あのバイクは家族からの大切なプレゼント。
何かやらかしてしまったら、それこそ部活に行きづらくなっちゃう。
「気持ちはわかるよ。俺もあまり詳しくなかったし。最初はすごく緊張した。でも、なんともなかったから大丈夫だよ」
「ほ、本当に?」
「うん。あと、市瀬さんは共通点が多い特別な後輩だから。自信持って」
「……ありがとう」
樫尾くんから温かい言葉と励ましの言葉をもらった。
特別な後輩だなんて、なんか照れくさい。
……お言葉に甘えてみようかな。