猫目先輩の甘い眼差し


「かっこいい……」

「ありがとう。一昨日磨いたばかりなんだよ」



心の声が漏れていたと気づき、ハッと我に返った。


良かった……バイクの感想だと思われてる。

テストが終わったからって、気を緩めちゃダメだ。
ちゃんと乗り方を覚えないと。



「服装は、これで大丈夫ですか?」



その場でくるっと回って全身を見せた。


露出を抑えた服とのことで、上はスウェット、下はストレッチ性のあるデニムパンツを。

靴も、足首まで隠れるスニーカーを選んだ。



「うん! バッチリ! 少し早いけど準備しようか。こっち来て」

「はいっ」



念入りに調べておいて良かったと胸を撫で下ろし、防具を装着。

そして乗り方と注意点を教わった。



「ここまで、何かわからなかったところはあった?」

「あの……腰と後ろの持ち手は、どっちを持ったほうがいいですか……?」



後ろに乗車し、最終確認中。
目と鼻の先にある大きな背中に向かって、恐る恐る尋ねた。



「そこは市瀬さんの好きなほうでいいよ。片方ずつでも、怖いなら俺に掴まってもいいし」

「っ……!」
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